編集者として大事なマインド

私が編集者になったきっかけは出版社に内定したからであって、最初から目指していたわけではありませんでした。大学時代の就職活動はうまくいかなかったタイプで、自己分析とかも結局…なんか意味なかったんですよね。

「自分にはこういう業界が向いているのかな?」と信じて受けつづけた業界は全敗し、駒がなくなりかけて焦っていろんな業界を受けたうちの一つが出版業界でした。

不思議なことに出版業界だけ駒が進むものなのです。約8年勤めた今思うのは、編集者は天職だったと言えます。

最初に配属されたのは富裕層向けの雑誌編集部でした。東北の芋くささが抜け切らない23歳の私が、なぜwww自分でも笑えました。 仕事で銀座や高級ホテルに出かけることも多く、「東京」「出版業界」のキラキラな世界観ってこういうことなんだなぁと、毎日の出来事を遠く離れた家族に伝えると、里山の大根の写真とかが送られてきたこともありました(笑)

2年目にはとあるタレントさんの連載担当になりました。毎月の打ち合わせの帰り道、泣いていることが多かったです。「うまくできなかった、どうしよう、でもやらなきゃいけない」の繰り返しで、プレッシャーが半端なくて、大きな病気をしたのもその時でした。

やっぱりこの頃は等身大の自分を、周りの環境が遥かに超えていて、うまく仕事を楽しめてなかったし、使える部下じゃなかったなとすごく申し訳なく思っています。

そんな時に編集部の上司たちとランチしたときがあったのですが、「編集者の仕事で何がいちばん楽しい?」と聞かれたことがありました。

「原稿を書いているときが一番楽しいです」と即答したら、えwwまじwwみたいな反応をされました(笑)なので質問返しをしたところ上司のみなさんは口を揃えて「いろんなスタッフと作っている感覚が楽しい」みたいなことを言ってたと思うんですよね(ここ大事なのにうろ覚えwww)

でもやはり上司の言うことはそうでした。仕事にも慣れてきて、自分で「こういう本が作りたい」というビジョンを持てるようになると、その描いたビジョンに乗っかってくれるスタッフのありがたみを感じるのですよね。

こういうデザインにしたいから上質なデザインが得意な〇〇さんに頼もう、とか、写真はこう撮りたいからバチバチにかっこよく撮ってくれる〇〇さんに頼もうとか。

そして仕事を引き受けてくれたら、みんなのパフォーマンスが最大限になるように、編集者として先導は切りつつも、気持ちは縁の下の力持ち。いいデザインや写真には心からの賛辞を、もっとこだわりたい粘りたい、もっと行けるというときは、「あぁでもないこうでもない」と言い合います。若干空気が悪くなるときもあります(笑)

そしてそれぞれのクリエイターたちが、各々の持てる力を最大限に発揮できると、最高の一冊ができます。

私は出版社を辞める前に渾身の一冊を作ったのですが、それは京都ガイド本大賞を受賞することができました。スタッフさんたち、本当に大変だったと思います。なのに花を贈っていただいたりして…本当にあのスタッフさんたちがいなければ成し遂げられませんでしたから、忘れられない経験となりました。

その昔上司が言っていたあの言葉。今ならやっぱり私もそう言うと思います。

今私は編集者から依頼されて、ライター兼カメラマンとして現場に出ることの方が多くなりました。また一時期、とあるカフェの広報もやっていたので取材を受ける側の気持ちもわかるようになりました。

いろんな立場を経験すると、相手がどういうものを望んでいるかわかるようになります。

今私は「お互いが気持ちよく仕事できるようにしたい」というマインドがブーム?で、まぁそれはすべての仕事において言えることですけども、醸し出す雰囲気とか言い方とか気をつけるようにしています。

ちょうど今一緒に仕事している方がほんっと〜〜〜〜にやりやすい方で、世の中この人ばかりならいいのにと思っています(笑)その人が元々持っている性格なのか、しっかり気を付けてらっしゃるのかはわかりませんが、私のパフォーマンスが上がっていることは事実。本当にありがたいです。

こう言う人のためならがんばろうってやっぱり思うんですよね。

「何か困ったとき、あんたのためならやってあげるっていう人を一人でも増やしなさい」とその昔の上司が言っていたんです。

いろんな意味でしみじみ、しみじみ、感じる深夜の1時でした。(早く寝ろ)